○持続性理論
・飢餓発生予測
SDGsの基本原理である地球の「持続可能性」は、1972年のローマクラブの「成長の限界」であり、経済成長が続くと、人口増加やエネルギーなどの天然資源の大量消費で、やがては賦存量の限界に達するということであり、食糧問題については人口増加が続くと土地不足が発生して、やがては食糧不足が発生するとの予側がなされ、多くの人の懸念として固定された事によります。
この予測は未だに実現していないが、現在において 8 億人が栄養不足に陥っていることを深刻な問題であるとして、持続性の問題として主張することが一般的になっています。
現在において、飢餓の背後に別の問題が存在するということは明確であるし、人口増加が飢餓をもたらすという主張が1798年のマルサスの『人口の原理』以降、常時予測され、全てが外れているという事象がありながら、食糧不足が発生するかどうかについては、未だに重要な社会問題とされています。
・飢餓から環境問題へ
飢餓の要因の片方である人口増加については、現在は無限に憎悪化するという人はいません。先進国の人口減少がいずれ途上国にも及んで、そう速くない時点で人口増加は停止し、減少に向かうという予測が一般的であり、人口を飢餓の要因にはし難くなっている。そこで、近年の食糧問題は社会環境の持続性という意味を含んで現在のSDGsに移行されています。

 

○農作物
・稲作ほど生産性の高い産業はない。
稲は種まきから収穫まで6ヶ月、発芽してから茎は分げつして1本の茎から20本の穂ができる。穂1本あたりに結実する粒数は80粒程度で、収穫可能化1600粒となります。
小麦のばあい種まきから収穫までほぼ10ヶ月、収穫数としては、芽からの茎の分げつ数は施肥、撒き時期で大きく差がありますが、ほぼ10本以下といったところでしょうか、穂1本あたりの粒数は60粒程度ですので、収穫できる粒数は600粒となります。
とうもろこしの場合、種まきから収穫まで5ヶ月で収穫量は茎から脇芽が出ますので、茎2本とすると、1本の茎から500粒の実が1本できますので、1200粒になります。
野菜の株あたり収穫数で言えば、きゅうりの収穫数は成功の目安として株あたり100本、ナスは200本で穀物とは桁が違いますが、種子ではなく果実収穫なのでよく改良されたものだと思います。
この1000倍、10万%利益率はどのような金融資産よりも大きくて、万馬券でも100倍なのでこの100倍は、10万馬券を高確率で当て続けるのに等しい産業であることがわかります。
・種苗と苗の革新
メンデルの法則による、交配第1世代には優性遺伝子しか発現しない遺伝的に均一な種しか発生しません。この種子は均一であるために発芽や収穫時期、大きさ等が均一で、耐性も予測可能であり、高収穫、省力化が実施しやすい。第2世代になると伴性が現れて、均一性や耐性が失われてしまうので自家採種はできないが、それ以上の効果があると言われています。これを利用したのがハイブリッド種子やF1と言われる種子です。
種子ではなく苗を使用すると、土地の利用効率が挙げられるし、発芽率の心配はいらないし、苗は大量に生産でき茎の径を選別して植え替えが可能になり、収穫時期などの調整ができる。クローン苗ならばF1種子よりも確実に均一性、優性を保持できます。

 

○農作物にとって価格上昇が重要なわけ
・効率
農産物価格が上昇すれば、生産者は価格上昇を予測して農機具、季節雇用などの資本が投入でき、生産効率を上げることができます。
・生産者数
 価格が高くなり効率が上がれば、単位面積あたりの投下労働力が減少でき、労働負荷は軽減され、体力等の肉体的適性の幅が広がり多様な労働者が就業できるようになる。
・耕地面積
 農産物価格が上昇すれば効率が上がり、労働対価が改善し、また生産調整の必要もなくなり、結果として広い耕作能力が上昇し、所有休耕地や放棄農地での作付けが可能になります。
・農業改良
 価格が上昇すると生産効率、生産者数、耕地面積が上がり、多くの資本を研究開発経費に投下できるようになる。その資本投下は機械の高性能化と品種改良が主体であり、その結果として機械化可能耕地が増加、種子あたりの生産量、生産物自身の味覚等の質が向上する。、
・価格上昇が社会にもたらすもの
農業生産力増加は多様な産地や天候耐性などが向上して価格が安定化して、結果として家計支出の自由度が増加し、余暇や教育へ家計費を割けるようになります。また、農業自給率が向上し国力の向上に寄与することになります。

 

 

 

【執筆者プロフィール】
中嶋 隆一 Ryuichi NAKAJIMA
EPIC PARTNERS株式会社 監査役。青山先端技術研究所・エグゼクティブフェロー。文筆家。
防衛省で31年間勤務し、研究開発業務に従事。定年退職後は、先端技術の研究・コンサルティング、大手企業のCVCのアドバイザーボード、公共領域のコンサルティング支援を行う。
誘導武器開発官付及び先進技術推進専門官、防衛省幹部学校において技術教育教官の経験を活かして、経営者・先端技術研究者等へのコーティングも行う。航空機搭載の電子とミサイルのスペシャリストとして、執筆、講演、セミナー等を幅広く実施。

 

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○軽自動車の電動利点
・実は最初のEVは軽自動車
2021年3月でi-MiEVが生産終了しました。日本のみでなく世界で最初の量産市販EVであり、2009年から2018の小型車移行を経て2021年3月まで販売されました。残る軽自動車EVはMINICAB-MiEVのみとなります。10年以上の販売期間に追随する軽自動車はなく、自動車販売台数で5割近くのシェアを持っている軽自動車こそがEV化の商店になりますが、EVはおろかPHV、シリアスなHVも新規の販売がなされない状態は何故でしょう。
・軽自動車こそEVが適している
(1)出力
サイズのみでなく排気量でも厳しい足かせがあるガソリン車と異なり、EVの場合、登録枠は車両寸法(全長・全幅・全高)で決定するため、定格出力や最大出力、電池容量などで規制されないので、出力に余裕を持たせたり、容量にバリエーションをもたせたりといった自動車が作れるのではないでしょうか。
(2)走行距離
軽自動車はもともと短距離通勤や買物、通院等走行距離が少ない。統計データを見ても1年間に7000キロ程度の使用が多く1万キロが普通の普通自動車と差があります。1日の平均走行距離も30km以下で、電池容量として実働30km程度の走行距離でも多くの需要が可能であると思われます。特に通勤やレジャー使用のないセカンドカーや高齢者の所要が確実に一定割合あり、長距離使用の頻度がほぼゼロの層が十分見込めると思われます。
(3)容積
軽自動車の近年のボディスタイルを見ると、多くはルーフが高く、ボンネットは小さく、ほとんどワンボックスのトールワゴン車であり、スタイルよりも容積を求めていると思われます。その点でEVはモータ容積が減る環境にあり、プリウスなど発売当初の5.1リットルから半分以下の容積で2.2リットルとコンパクトなっています。ガソリンエンジン車の30リットルの燃料タンクとエンジンの容積を考えれば電気自動車による車内容積の増加も可能だと思われます。

 

○電動化の問題点
・EVが選択されない理由
(1)実は、充電よりガソリンを入れるほうが面倒がない。
ガソリンは均質化して、給油場所をえらばない。その上、エコカーは1リットルで20km走行可能なので、平均30リットルの燃料タンクで1日30km走行では20日間給油の必要がありません。この利便性はかなり大きいものとおもわれます。
(2)特にエンジンなどを意識しない。
近年のボタンによるエンジンスターター、アイドリングストップでのスタート機構も高度化し、CVTなどの無段階変速があれば、特にユーザーはエンジン存在などを意識しないで生活している。ユーザーはこの点についてはEVになっての利点は感じないでしょう。
(3)中古車の問題
自動車部品の信頼性、耐久性はかなり上がっており、軽自動車は走行距離の関係もあって、事故歴さえクリアすれば下取り価格が下がらないので、購入時の高価格化が大きな問題にならない。この点は使用環境によって電池寿命が大きく変わり、高額な電池交換が発生する中古EVに対する不安は如何ともし難いでしょう。
(4)所得層の問題
購入層調査で軽自動車は400万以下が40%で車両価格と維持費は購入の主要な要件でしょう。これでは中古による値落ちも期待できないEVが普及するはずがありません。また低所得者の持ち家比率が低く、自宅に充電設備が確保できないため夜間長時間の充電ができないということも考えられます。
・マイルドハイブリッドという選択
モーターが小型化したとしても、全く違う駆動機関を軽自動車に搭載することは容積的にまた重量的に不利な状況にしかなりません。電池と駆動機関が限定的なマイルドハイブリッドで発進・加速時のエンジン高回転のフラット化によるガソリン消費節約としての活用しか選択できない現在の状況は理解できます。

 

○軽自動車EVの実現法
・社会インフラの充実
EVの増加には軽自動車の使用者層の中心である中低所得者に対して充電インフラを提供する必要があります。それには所得制限のある公営住宅に積極的に設置する政策が必要でしょう。またそのような住宅にカーシェア施設を設置して、一括管理する方法も考えられます。
・規格免許の細分化
(1)細分化可能な機能の発生
近年の自動運転に向けた運転支援機構の進展は目覚ましいものがあり、様々な支援により運転者に必要な技能や負担は低下します。また、「多様な交通主体の交通ルール等の在り方」等によってミニカーの原付化、講習のみの19km/h以下の車両などが構想されており、それならば、必要な技能により教習期間や費用を節約する免許取得コースが有っても良いのではないでしょうか。
(2)高齢化による不保持
近年、免許返納やそれによる自家用車の不保持が増加化しています。視力や判断力、反射速度などが老化の要素ですが、これは安全装置、運転支援機構、1日の走行距離など免許限定で、ある程度は保有期間の延伸余地はあると思います。
(3)マイナンバーを利用した自動車運転資格のプライベート化
マイナンバーを健康保険証や免許の同一データベース化が計画されています。納税、保険加入、障害や健康データ、電子カルテなどを多様に一括管理できたならば、運転可能な車両の限定もユーザー個別に管理できるのではないでしょうか。

 

 

 

【執筆者プロフィール】
中嶋 隆一 Ryuichi NAKAJIMA
EPIC PARTNERS株式会社 監査役。青山先端技術研究所・エグゼクティブフェロー。文筆家。
防衛省で31年間勤務し、研究開発業務に従事。定年退職後は、先端技術の研究・コンサルティング、大手企業のCVCのアドバイザーボード、公共領域のコンサルティング支援を行う。
誘導武器開発官付及び先進技術推進専門官、防衛省幹部学校において技術教育教官の経験を活かして、経営者・先端技術研究者等へのコーティングも行う。航空機搭載の電子とミサイルのスペシャリストとして、執筆、講演、セミナー等を幅広く実施。

 

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○生命体探査の意図的な誤解誘導
H.G.ウェルズの火星人来襲以前から地球外生命体に対する好奇心は多くの人が持っていました。天文学者は火星の運河を火星人存在の証拠として、詳細な映像で運河ではないとされるまで火星人の存在は可能性で有り続けました。
そのようなことがあって、地球外生命体探査イコール宇宙人の探査であるといった誤解がついて回ります。探査にはいくつかの種類があります。まず、知的生命体で、これは知的生命体が発する信号を捉えようとしています。次は地球外生命体です。これは初期発生生物である単細胞生物やその生物だけが生成する痕跡物質などを彗星や隕石、月の石のような採取資料から発見しようとしています。それから、生物発生可能惑星捜索で、海があって有機物の構成品物質があって落雷や高圧環境などが存在しそうな惑星とその惑星を持った恒星の探索です。最後は生物生存可能惑星です。気温や重力が水を保持できるような、大きさと恒星からの軌道距離を持った惑星の探査です。
これらのことがよく分類されず、誤解をされたり、意図的に誤解を誘導し、単純な恒星軌道惑星発見を宇宙人の可能性を発見した研究などと過剰な評価を受けようとしているような情報が散見されます。

 

○地球外知的生命体捜索
電波天文台での飛来電波の探査は、地球外生命体が進化し知的活動をするようになり、電信あるいは電気器具を発明していたら、波長がある程度の精度を持った電磁波を使用しているだろうという推定からです。
そのことは現代科学が知的生命体の発見については極めて心細いツールしか持っていないということを示しているということです。それは知的ではなく生命発見についても同じです。現状で実際に調べているのは、生命ではなく生存可能惑星です。

 

○生命発生惑星と生存可能惑星
生命発生惑星と生存可能惑星は明確に違います。生存可能惑星は、とりあえず地球の環境と同じ惑星を探査することで見つかりそうに思えます。地球の環境と同じ惑星とは、それは惑星が水を安定的に保持できる環境ということになります。水の安定的維持に必要な条件は温度と気圧です。それは取りも直さず、惑星の温度の決定要因であるハビタブルゾーンと言われる恒星と惑星の距離の範囲と、惑星の重力に影響する惑星の直径というサイズに集約されます。地球に近い大きさの惑星でハビタブルゾーンに有る惑星が生存可能惑星ということにされている場合が多いです。
これについても地球環境生成が太陽との熱的位置関係や重力などで単純に成り立つものでないので、生命発生の環境となると実際には一層難しくなります。生命発生惑星のデータも地球しかないのですが、この地球はかなり得意な複雑な歴史をしています。この地球が体験した条件の何を満たせば他の惑星でも生命が発生するかは全くわかりませんし、そもそも地球の形成課程についてまだわかないことが多くて、全ての重要条件を羅列することすらができませんし、生命が地球の何処で生まれたかも全くわかりません。その結果、生命が発生しているという言い方は困難であると言えます。

 

○地球型惑星
そこで、宇宙学者は、惑星に宇宙生命存在の可能性の数値としては、ハビタブルゾーンの惑星発見数からハビタブルゾーンの惑星総数予測し、それに地球環境の生成に関わる事象の発生確率を比較して推定値とする手法を使っています。
地球の歴史上に存在する決定的なイベント毎にそれの発生した確率を設定して事象数分の掛け算をした結果が発生確率であるとして、存在が推定される惑星数が十分に上回っていた場合には、生命が存在する可能性が高いはずであるという勝手な推定です。
宇宙研究家は地球型惑星数を10の21乗個存在するとしています。その膨大な数によって、これはいかなる条件を課したとしてもそれを上回るに違いないと思っています。
しかしながら、これを最新の地球物理学、地学の専門家の研究で判明している、地球が受けた極めて異常、例えば月を作ったかもしれない大規模な衝突で一旦惑星全体が溶融した経験や、彗星から大量の氷が降り注いだというような体験の数は最低でも35件あるわけですが、夫々を0.1の確率で体験しているとしただけで10の-35乗の事象になります。の確率では地球が宇宙のたった一つの生命発生方程式の解である可能性も否定できない事になってしまいます。
このように、地球以外の生命体(地球由来は除く)の存在に関しては、現在の観測方法では、ファンタジーの領域を出ていないという見方も十分あり得ると思います。そのために、生命探査を重要とする学者たちは、太陽系内の火星や木星土星の衛星での実際の試料採取を熱望しているわけです。

 

○知的生命体の必然性
さて、そもそも知的生命体は、進化の到達地点であって、生命が発生した惑星では進化の結果として知的生命体にたどり着くものなのでしょうか。これは別項に記載します。

 

 

 

【執筆者プロフィール】
中嶋 隆一 Ryuichi NAKAJIMA
EPIC PARTNERS株式会社 監査役。青山先端技術研究所・エグゼクティブフェロー。文筆家。
防衛省で31年間勤務し、研究開発業務に従事。定年退職後は、先端技術の研究・コンサルティング、大手企業のCVCのアドバイザーボード、公共領域のコンサルティング支援を行う。
誘導武器開発官付及び先進技術推進専門官、防衛省幹部学校において技術教育教官の経験を活かして、経営者・先端技術研究者等へのコーティングも行う。航空機搭載の電子とミサイルのスペシャリストとして、執筆、講演、セミナー等を幅広く実施。

 

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○人間は知的生命体
最近、人類を知的生命体と定義する場合が多くなりました。それは、宇宙探査の目的に宇宙人の存在確認が言われるようになり、宇宙人と言った場合には、火星や木星の衛星エウロパで唯一存在する生命が微生物出会った場合それを火星人、エウロパ人とした場合、採取解析が侵略や人体実験になりかねないことになります。宇宙人と言っていたものを地球外生命体を宇宙人とするかといえば、その生命体が知的生命体であるか否かということになるでしょう。そういう意味で「知的生命体」という言葉が重要になってくるわけです。

 

○進化と適応
さて、そもそも知的生命体は、進化の到達地点であって、生命が発生した惑星では進化の結果として知的生命体にたどり着くものなのでしょうか。地球の生命進化において、系統樹という根本が多様で、先端に行くにつれて細くなり、最先端に進化の頂点としてホモサピエンスがいるという生命樹を適切と思う生物学者はいないでしょう。今では頂点に大量の枝先が到達して広く平になっている系統樹を示すことが多いです。現存する多くの生物が進化の頂点であるという考え方です。その意味では、これは進化というよりも適応という方が正確ではないでしょうか。

 

○機能と知性
人類において、知性の高度化は人類自身に何をもたらしているかというと、機能の向上であると言えます。猿人から原人、旧人、新人へと進化している間に火を使うようになり、火食や野獣回避や夜間行動、言語を使うようになり、またた集団行動や意思疎通での行為形成による暴力性の低下や、縫製による断熱性の高い靴や着衣は寒冷地への適応を成し遂げました。このような可能行動の増加が動物としての機能の高度化とみなされて知性の獲得は進化だと言われています。
実際には、猿人から新人までに起こっている動物としての形態の変化は、他の動物に対して進化という見方をする場合に対してごく僅かでしょう。現在は、猿人は属単位、原人は種単位、旧人は亜種の差ということになっていますが、近年、区分の壁は低くなっているように思います。特に旧人と新人は知性とそれによる行動形態という基準がないとほぼ分類できないのではないでしょうか。その意味で本来の身体機能と知性が同一視されている部分もあると思います。

 

○知的生命体への進化の必然性
・知的進化は必然か
多くの人は、生物進化の最終結果として知的進化を捉えているところがあります。つまり、発生した全ての生命は知性を求めて進化するという漠然とした原則です。それが有るから、惑星探査で40億年以上の年齢が有る星が有ると知的生命の存在を想像します。果たしてそれは必然なのでしょうか。それを考えてみます。
・収斂進化と適応
進化末端を見ると、機能及びそれを実現する部品や全体の形態について収斂性が見えます。いわゆる収斂進化であり、イルカとサメとイクチオサウルスとペンギンの遊泳機能と体型が似ているというものですが、生物の種別に関係がなく、生活する環境に適応した結果、形態や機能が類似すると現象があると言われています。
・支配者の進化形態
収斂性を考えて、過去の環境の支配者、食物連鎖の頂点と言われる生物の機能を考えますと、カンブリア紀の海ではアノマノカリス、ジュラ紀の海では魚竜、白亜紀の海ではモササウルス、陸ではTレックス、新生代ではスミロドン、メガロドン、ホオジロザメなどですが、共通した機能は大きさ、筋力、顎(口)、牙(歯)があります。つまり、他を支配するためには、他より抜きん出た攻撃する能力を形態にも機能にも持っているということです。
・人間以外の高機能性
人間以外の高機能の獲得は遺伝や本能に依ります。そして、その高機能を単純化して少ない命令判断で実行するように発展するようです。ある狩人蜂は獲物を巣穴に持ち込む途中で落としてしまった場合、それを探して拾わずに持っているときと同様に巣穴に入って奥に置くような行動をしてからまた別の餌を探しに行くそうです。複雑な行動を判断の分岐を最小限にすることでプログラムの規模を圧縮して固定化し、堅牢性と格納性、子孫への伝達の確実性を上げるという高機能化を採っています。それにより体を小さくでき生存と繁殖のエネルギーを節約できることになります。
多くの動物、あるいは植物の機能化とはこのような傾向であり、人間のような、教育という長期間を必要とする知性による機能を取るのは特殊と言えるのではないでしょうか。
・類人猿における支配者形態
つまり、知性という進化形態はどの生物にも現れておりません。霊長類内で見るとチンパンジーが攻撃性、知力、筋力などの他の生物種の頂点を占める種と共通な機能を持つ、最も進化の頂点のように見えます。人間の機能は生物の進化の歴史を見ても見つかりません。人類700万年、またはホモサピエンス20万年以前には35億年の生物史に知的というものはなかったことから、この知的、それも認識論的な知性という機能はキリンの首や象の鼻、孔雀の羽のような過剰適応であり、進化のパーツではない可能性もあるのではないでしょうか。

 

 

 

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中嶋 隆一 Ryuichi NAKAJIMA
EPIC PARTNERS株式会社 監査役。青山先端技術研究所・エグゼクティブフェロー。文筆家。
防衛省で31年間勤務し、研究開発業務に従事。定年退職後は、先端技術の研究・コンサルティング、大手企業のCVCのアドバイザーボード、公共領域のコンサルティング支援を行う。
誘導武器開発官付及び先進技術推進専門官、防衛省幹部学校において技術教育教官の経験を活かして、経営者・先端技術研究者等へのコーティングも行う。航空機搭載の電子とミサイルのスペシャリストとして、執筆、講演、セミナー等を幅広く実施。

 

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○電気自動車に参入障壁が亡くなったという誤解
電気自動車について言われることですが、自動車の参入障壁の最大はエンジンではありません。エンジンであるならば、2輪やでぃーを開発したメーカーが簡単に参入できるはずです。私は、飛行機の開発で期間中延々と構造共振を潰し続けるのを見た経験から、参入障壁は強度剛性という車体設計であると考えます。近年でも、経済界はトヨタでさえTNGAができるまでは、VW者と比較して次世代には対応できない企業という間違った烙印を押していたように思います。そのくらい車体特にシャーシの設計はエンジンなど部品のように交換できない根幹部分であることにおいて、SDGsを含む自動車の性能や安全性、耐久性、環境性、経済性に直結するものである。私がテスラに対して不安視していることの第一は、車種ごとに膨大な経費がかかる衝突実験や振動試験などの耐環境試験を新たな車両開発において適切にできるかということです。テスラは先進国において久々に現れた量産車メーカーであることは称賛に値する。しかしながらつまり、交通環境の変化を経験し、それに対応して政府の交通行政と両輪になって社会対策として責任を持って車両を練り上げてきたベースがない唯一のメーカーとも言えることではないでしょうか。電気自動車にも同じことが言えま、重要な社会インフラとして社会的要求により推進してきたものであり、政府の方針を受けた国内企業が、特区などを使って多くの社会実験を実施しながら開発をしてきたノウハウのもとに進めてきたものであるということでしょう。

 

○自動車開発における重要な視点
自動車という商品につて考えるときには、まちがいなく行動経済学的な見方が必須であると思います。自動車はその基本的に必要とされる機能や装備に対して、実際にに装備されるものは、性能全体を含めて過剰なもの、重畳なもの、華美な装備がたくさんついており、また大量生産品には普通ありえない、個々の車両ごとに塗装や艤装といった内装や外装について個性化も必要とされています。それは、自動車というものの存在が、行動経済学というか人間の最高の権利である愚行権の所有面での象徴であり、その意味で大変に顧客に媚びることに商品価値があるといえます。それを理解すると自動車の将来を予測することは大変難しい作業であると理解できます。つまり、シェアリング化などの将来構想が本当に一般化するのかは明確ではないと思います。
また、電気自動車は燃料電池車への過渡的存在であるという考えもありますが、その場合には、電気自動車が問題を解決できない場合の水素を発電とエンジン燃料とに利用する水素ハイブリッドは検討するべきものかもしれません。

 

○電気自動車の課題
・充電について
電気自動車のコストは電池容量の低下による電池交換に有ります。目的の使用形態に応じて、電気自動車でも生活に対応できると考えて電気自動車を選択購入する人にとって、使用形態に対応できなくなるタイミングが買い替え時期になります。その時のリセルバリューと使用可能期間がが選択の最重要となります。電気自動車は駆動系以外は普通の自動車ですので、駆動系のメンテナンスや部品代と経年交換の可能性、そして交換不能部品については部品寿命が車両の保有寿命になります。
それから見ると、現状では電気自動車については、その価格を決定すると言われるのは電池であって、車両の寿命すなわち買い替え時期を決定するのは電池寿命であることが明確です。
そのためには電池寿命を最優先とした充電、電力使用システムを追求するべきではないでしょうか。電池に付加をかけない充放電とは取りも直さず、発信加速時の電力負荷の解消、充電における急速充電の必要性の解消ではないでしょうか。
もともと電気自動車の成立のベースは、使用時間と不使用時間の差が大きく、使用している短時間の電池消耗を使用していない長時間の充電でペイするというものであったと思います。そのためには自宅充電ができない状態は電気自動車の本来ではないと言えます。ダウンタウンとアップタウンで職住分離がなされる欧米ならば、アップタウンは戸建住宅であり充電の問題はないですが、日本の特殊な郊外型集合住宅は自宅の電源を直結しての充電は困難です。これには例えば、昼間に蓄電池に充電して、夜間は車のトランクなどに積載してトランクから長時間かけて自動車の電池に充電するなどの充電方式を構想する必要があると思います。
出力に関してもメインの電池に負荷を与えないために、例えばF-1や耐久レースで使用したような、別途に加速用の動力源を持ち、その電源は交換可能な電池や劣化の少ない大容量コンデンサとして装備するなどの必要があると思います。

・車種のバリエーションについて
電気自動車の問題点を理解すると、車種拡大、走行条件バリエーションの増加が簡単なものでないことが推測できます。それは、スピードや加速などに必要な大トルクを極力多用しないこと、長時間寒冷地に放置しないこと、夜間の悪天候で長時間使用しないことなどが電気自動車の利便性を確保するための条件となるからです。そのような観点から、オフローダーなどの登坂や泥濘地、雪道など頻繁に高いトルクが多用される場合、スポーツ走行での常時高出力を必要とする場合は、市中での走行に比較して電力消費が多くなります。また、大型トラックなどの長距離輸送車両は、運転を交代しながらも車両を稼働させ、早い減価償却が利益に直結します。エンジン車なら「燃費が悪い」で済んでしまう特徴は、電気自動車では車両自体の存在そのものになります。
つまり、中小型乗用車に限定せず、様々なバリエーションを電気自動車で揃えるということは、自動車メーカーには大きな挑戦になると思います。

 

 

 

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中嶋 隆一 Ryuichi NAKAJIMA
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防衛省で31年間勤務し、研究開発業務に従事。定年退職後は、先端技術の研究・コンサルティング、大手企業のCVCのアドバイザーボード、公共領域のコンサルティング支援を行う。
誘導武器開発官付及び先進技術推進専門官、防衛省幹部学校において技術教育教官の経験を活かして、経営者・先端技術研究者等へのコーティングも行う。航空機搭載の電子とミサイルのスペシャリストとして、執筆、講演、セミナー等を幅広く実施。

 

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○火星でヘリコプター
(1)火星でヘリコプターを飛ばす計画
NASAの小型ヘリコプター「インジェニュイティ」が最終試験を実施中だ(これを書いている間に成功したというニュースがありました。)。インジェニュイティは探査車パーサヴィアランスの下面から切り離され、バッテリーと太陽電池からの電力でモーターにより4枚のブレードを回転させ飛行するシステムです。
火星探査は従来、火星を周回する探査衛星や衛星から分離された周回探査機が全球的な視点から画像や輻射環境から惑星の表面及び内部の構造や地質学的特徴をつかみ、衛星から地表に投下した固定着陸機や車輪駆動の無人探査車が鉱物や岩石層を間近で観察、分析するという役割分担でありました。
ここに低高度から広域を観測できるヘリコプターが加われば、周回機よりも詳細に、探査車が立ち入れないクレーターや渓谷、火山等の調査が可能になります。
(2)なぜヘリコプターか
火星上で飛行するシステムは、圧縮ガスや燃焼ガスの噴射が最も一般的です。しかしながら、火星は簡単に往還ができないために、探査機や探査車は長期運用が原則ですので、消費するエネルギーは唯一火星でも獲得できる太陽電池の電力を蓄電することになります。燃焼ガスはおろか圧縮空気でも時間がかかりすぎると考えます。火星の環境では、電力で直接ローターブレードを回すことが現実的と言えます。

火星での飛行をネタにして、ヘリコプターの原理を考えます。

 

○ヘリコプターの原理
(1)飛行機とヘリコプターの違い
航空機が飛び上がる原理は、飛行機が滑走路を使って加速し、高速で前進することにより翼の上下を気流が通過することにより翼に揚力を発生させて、翼で機体を持ち上げる機構です。対して、ヘリコプターは加速のための滑走路なしに飛び上がることを目的にしたひこうきであり、機体は固定したままで翼に揚力を発生させるために、翼だけを高速で移動させる機構を採用しています。
(2)ヘリコプターとドローンの違い
ヘリコプターの上部で回っているものはローターブレードつまり回転する翼と呼ばれています。揚力発生が目的ですので、空気の圧縮して下方に吹き付けることが目的のドローンのプロペラとは正確に言えば違います。回転翼は揚力発生が目的ですので、ブレードはほぼ回転面に対して水平かほんの少し上反角がついた程度ですが、プロペラは回転面に対して大きなピッチ角、それも先端と根本のピッチが大きく異るブレードを使用する場合が多いです。そのため回転が止まったり、回転させるパワーが無くなって空回りしている場合にはプロペラで浮き上がっているものはすぐに落下しますが、回転翼の場合、風を受けてさえいれば揚力が発生しますので、飛行機と同じようにとまでは行きませんが、滑空飛行を行うことができます。回転数もドローンのプロペラは1分間に1万回転近く回るものもありますが、ヘリコプターは、空気の剥離が発生しないように200から400回転に押さえてあります。
もう一つ、プロペラのダウンウォッシュで浮き上がるドローンの場合、プロペラの上下に障害物があるとダウンウォッシュがうまく流れないのでプロペラは機体からはみ出して、上にも下にも機体が掛からないように配置しますが、回転翼の場合は浮力が翼に発生しますので、機体の真上に回転翼があっても、とは言っても地面効果があるので無いに越したことはありませんが、問題はありません。
(3)火星のヘリはなぜ大変か
空力に影響する環境要因は、気温、気圧、重力(機体重量)ということになります。地球上では空気密度か高いので温度上昇による密度減少は影響しますが、希薄な空気の火星では気温の揚力への影響はほぼないと思いますので、気圧と重力ということになります。気圧は空気の濃さですので、揚力の発生しやすさの基準になります。重力は持ち上げる対象の重さなので、必要な揚力に対抗する力になります。
気圧は7ヘクトパスカルなので大体1/100くらいですので、これが揚力の発生しやすさになります。重力は 3.71m/s2でほぼ1/3の重さになるということになります。それでは揚力の少なさが大きく勝っていますので、それを補償する構造、機能を付与する必要があります。ブレードを30倍揚力を発生しやすい構造にするのでしょうが、超希薄気体での揚力の発生メカニズムは回転翼の原則である気流の表面剥離ギリギリの回転数まで回すということでしょうが、その結果を見てみたいと思います。

 

 

 

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○新たな交通制度
(1)警察庁発表
4月14日警察庁が有識者に委託検討中の「多様な交通主体の交通ルール等の在り方に関する有識者検討会」の中間報告において、「近年、技術の進展等により、電動キックボード、自動配送ロボット等の多様なモビリティが登場しており、海外の一部の国では、それらが新たな移動・運送手段として活用され始めている現状にある。また、我が国においても、これらの新たなモビリティの更なる活用を目指して各地で実証実験が行われているところであり」とし、「我が国の既存の交通ルールの下では十分にその性能や利便性を生かすことができない可能性が指摘されている現状にあり、交通ルール等の在り方の見直しを求められている状況にある。」として、新しいモビリティを排除する方向から、積極的に活用して利便性を向上させるべく取り入れる方向に向かうべきという判断がなされた。
ここで新たな交通機関として示されているのは、電動キックボード、セグウエイやシニアカーを含む電動車いす、自動配送ロボットに従来普通免許を必要としてきた原付登録の電動ミニカーなどです。
これは、現在では簡易モビリティーを商品として発表する場合に、「私有地のみ走行可能です。」や、「公道では使用できません。」という重大な制限が解除される可能性があるということになります。これは、新たのなモビリティが、社会としてもっと活用できるよう、交通ルール・自動車登録車両区分に追加される可能性を示しました。

(2)この報告の意味
このような識者検討の報告が中間報告でありながら、大々的に公表される場合の多くは、これは制度改定の予鈴であり、メーカーや自治体はそれに備えて組織人員を用意せよという指示だということです。また、国土交通省や官邸の特区制度度の活動、高齢者の事故削減対策についての警察側からの対応について速やかに回答する必要があったのではという予測ができます。
警察がかじを切った理由としていくつかの可能性が言われています。まず、国土交通省が多額の予算をつけて各地で行ってきた都市交通システム実験が、期間終了後に十分その成果を反映できていないということ。高齢者事故の削減に向けた免許返納運動が、その代替措置を全く考えていないために全く進捗しないで相変わらずアクセルとブレーキの踏み間違いと言った高齢者の事故が無くならないという批判。オートマ免許以来特に提言措置のない免許取得のための費用と期間の拡大のために、新規免許取得者の減少して免許取得者からの寄付で運営されている警察の外郭期間である交通安全協会の安全広報活動に支障が出ていること。また、免許取得者の現象は自動車教習所の減少をもたらし、結果、不適応高齢者の排除のための高齢者講習が円滑に実施できていないことなどが挙げられます。が後何も成果を挙げられないことに疑問がベンチャーが得意とする領域が法的にポジションを得ることになります。

 

○交通制度の概要と可能性
(1)歩行者扱い(時速6km/h未満)
・概要
時速6km/h以下は歩道通行が可能です。現在のセニアカーの基準に合わせたもので、完全に歩行者扱いとなり、路側帯のほか歩道も走ることができます。免許もナンバーもヘルメットもいりません。その上、立ち乗りか座り乗りかの区別も、車椅子以下なら大きさの区分もありません。また、自動荷物配送ロボットも安全性を別途担保した上でこの区分で歩行者扱いとするようです。
・可能性
これは年齢制限がないことから、玩具用途が広がると考えられます。子供でも日常の移動に使用でき、軽車両でもないので、歩行者天国などで速度厳守での公道でレースも可能になります。
(2)自転車扱い(時速15km/h未満)
・概要
時速15km/h以下は小型低速車として、自転車扱いとしています。歩道は走れませんが、路側帯・車道・普通自転車専用通行帯・自転車道は走れます。交通ルールの認識が必要ということで、年齢制限及び講習受講は必要であるが、免許やナンバー登録、ヘルメットも自転車と同様な扱いなる。
・可能性
セグウェイや電動キックボードが対象となり、米国などで各州ごとの基準で多様に使用されているモビリティの輸入販売が拡大できる可能性があります。登録不要からキットや通販での販売も可能であり販売ルートも点検整備ルートの構築必要なく、速やかな展開が期待できます。
(3)原付扱い(時速15km/h以上)
・概要
時速15km/h以上出せるものは原付枠として扱います。車道のみ通行可能でかつ原付免許、ナンバー、ヘルメットが必須です。またヘッドライトやウインカー、ブレーキなどの安全装備も従来どおり必要です。これに従来のミニカーが分類されていることが大きな期待です。
・可能性
かつて一時的ではありますが、原付エンジンを搭載したミニカーが、普通免許を持たない高齢者が実技のない原付免許で自動車が運転できるとしてブームになった事がありました。自転車並みの構造ですので、キットカーとしてエンジンを含んで通販で販売されていたことがあります。これは直ぐ規制され、普通免許対象となって街からミニカーは消えました。それはトヨタのコムスなど現在の電動ミニカーでも同じで、0.6kW以下の原動機を有する一人乗りモビリティは道路運送車両法においては自動車でなく原動機付自転車であるが道交法では普通自動車として扱われています。
これを道交法で原付扱いにすることで、免許取得が簡易化して取得者が増加し、ミニカーの都市交通への適応が促進される可能性があり、企業の配送車、自治体の公共交通代替事業であったものが、個人のセカンドカーや高齢者需要、観光地などのカーシェアリング需要が考えられる。

 

 

 

【執筆者プロフィール】
中嶋 隆一 Ryuichi NAKAJIMA
EPIC PARTNERS株式会社 監査役。青山先端技術研究所・エグゼクティブフェロー。文筆家。
防衛省で31年間勤務し、研究開発業務に従事。定年退職後は、先端技術の研究・コンサルティング、大手企業のCVCのアドバイザーボード、公共領域のコンサルティング支援を行う。
誘導武器開発官付及び先進技術推進専門官、防衛省幹部学校において技術教育教官の経験を活かして、経営者・先端技術研究者等へのコーティングも行う。航空機搭載の電子とミサイルのスペシャリストとして、執筆、講演、セミナー等を幅広く実施。

 

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「Mr.自動運転が明かすiPhoneと車の違い
アップルが進めてきたスマホ革命と同じようなことが、自動車の分野でも起きているのは事実でしょう。でも、スマホと車には決定的な違いもある。PCやスマホが故障するのと、車のソフトがクラッシュして突然動かなくなるのとでは、状況が全く違います。
優秀なエンジニアがいれば、車をハックして「自動運転」にすること自体はそんなに難しくありません。本当に難しいのは、誰が使っても安全だという状態に持っていくことです。
──ジェームス・カフナー トヨタ自動車取締役CDO」

 


【自動車のスマホ化とセキュリティ】

 

○スマホ化とインターネット
スマホが従来の携帯電話の領域を革命的に超えた通信機器である所以は、インターネットサービスを介したデータ通信にあります。端末は電話会社とだけでなくインターネットサービスを介して様々に公開された世界中のデータサーバーにアクセスして情報を取得して表示するとともに、スマホの機能発揮するための設定データとして利用できることにあります。
インターネットのシステムの便利な機能のベースは、インターネットプロトコールという共通アドレスだけで、とこにあるかが関係なく端末がインターネットサーバーを介してネット接続しデータを開示して何処からもデータのやり取りができることにあります。IOTはこの、何処にいるかは問題でなく自分と相手のプロトコールをインターネットサーバーに示すだけで特定の相手とつながるという通信技術ことを指しているだけです。
スマホやPCでインターネットと接続する場合は、相互にアドレスを開放して持っているデータをお互いに提供して接続し合うという形であり接続相手を固定しません。これが単なるIOTの意味であるインターネット通信とスマホなどのインターネット検索などの違いです。

 

○自動車における通信である電装のソフトウエア化
ジェームス・カフナーCDOの言われた、携帯電話のスマホ革命に相当する自動車側の変化は、電装ラインのLAN化、つまりソフトウエア化がその端緒と言えます。
自動車を一つのシステムとして考えると、様々な信号通信を実施しています。ドライバーから出す指示はスイッチ、ペダル、レバーの操作であり、それは信号になって制御器から装置へ一対一接続を介して送られて装置の作動させます。ただその場合には電装品の数だけの電線ケーブルが必要となります。自動車の運転席から後部につながるケーブルはまとめられていますが、その重量は高級車では50キロに及ぶ車種もあり、車重への影響だけでなく配線や接続マンパワーだけでかなりの負担となります。
それが近年になりデジタル技術の発展により車載LAN(CAN)を使用して制御器から装置全部へ全ての信号が1本のバスケーブルで送られて、装置側の制御コンピューターが自分宛ての信号を認識して受け取るというデジタルデータバス接続も出てきています。これはいわゆるイーサネットによる伝送制御のソフトウエア化環境化と言えます。しかしながらこのシステムはリモコンキーや車載カメラなど各種センサーを含めたとしてもた機器が固定した自動車システム内で完結したネットワークであり、社外からのアクセスはメンテナンスとしてであり、インターネット回線の必要はなく、制御コンピューターにダイレクト接続し、外部からのアクセスを排除することができます。

 

○ICTと自動運転
しかしながら第2の自動車版スマホ革命と言える自動運転環境では、ある程度の開放系のネットワークにならざるを得ません。自動運転システムが判断できない環境に陥ると遠隔地の監視センターに接続する必要があります。また、ミリ波レーダー装備の場合では天候情報は判断における大切なデータです。道路の事故処理や工事情報、臨時設置信号、交通指導員による片側交互通行、指定迂回路情報などもリアルタイム性を必要とします。
これらの通信は、日本の郊外、山地など何処を移動中でも、またトンネルや地下駐車場などの難通信環境でも成立する必要があります。そのためには独自の通信回線よりも、利用者が遥かに膨大で広範な領域を網羅するスマホの地上局を介したインターネット回線を利用するほうが確実です。

 

○自動運転におけるセキュリティ
自動車は多くのシステムからなっています。その多くがクローズドなシステムであり、電装メーカーのノウハウで最適のアーキテクチャを使用すれば良いので、HTMLなどのアーキテクチャを使用する必要がありませんので、外部からのフェイクデータによく撹乱を排除しやすい環境にあります。特にエンジン制御関連は従来の通常走行でもアクセル以外の外部入力はありません。様々な走行環境に対する適応能力など自動運転プログラムの熟成がスマホなどよりも遥かに慎重であるべきなのは当然ですが、問題は外部からのアクセスを必要とする運転支援システムでしょう。
運転支援システム作動車が、常時インターネット回線に接続する状況の多くは、円滑走行に利用する環境情報の取得であり、もしこれらのデータに異常な割り込みデータが発生した場合には、車載センサーや過去の蓄積情報から急な変更データのファクトチェックなどで、割り込みデータが適応可否の判断をするなどの対策が可能です。自動車が明確にインターネットに依存した状態になるのは遠隔操作の状態が発生する自動運転がギブアップし、管理センターからの遠隔操作を受ける場合です。この遠隔操作管制システムにおけるバグやハッキングに対して如何にセキュリティを構築するかは重要な問題であると思います。

 

 

 

【執筆者プロフィール】
中嶋 隆一 Ryuichi NAKAJIMA
EPIC PARTNERS株式会社 監査役。青山先端技術研究所・エグゼクティブフェロー。文筆家。
防衛省で31年間勤務し、研究開発業務に従事。定年退職後は、先端技術の研究・コンサルティング、大手企業のCVCのアドバイザーボード、公共領域のコンサルティング支援を行う。
誘導武器開発官付及び先進技術推進専門官、防衛省幹部学校において技術教育教官の経験を活かして、経営者・先端技術研究者等へのコーティングも行う。航空機搭載の電子とミサイルのスペシャリストとして、執筆、講演、セミナー等を幅広く実施。

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日本古典における最高教養というとやはり源氏物語でしょう。意外と読んでいる人が少ないためか、枕草子のように内容が話題になることは少ないように思います。
世界で活躍する国際人に絶対必要な個人のアイデンティティとして、日本人が身に付けるものとして、英国人のシェークスピアと並ぶ教養として、日本人の古典教養としては源氏こそが最大のキラーコンテンツであると思います。
それは、源氏物語が単に、様々な異論はあるが、世界最古の長編小説と言われ日本文学の誇りというだけでなく、日本の精神世界の根源である、様々な慣習や習俗と人間の感性が感じられるということもあります。
私の感じただけでも中世日本の分化としていくつかの注意深い項目があります。いくつかを列挙してみますと、

 

〇病気についての考え方と対策としての仏教
平安時代というか、それ以後であっても人が病気にかかるのは悪霊に祟られることが原因であり、祈祷を行って悪霊を退散させることが唯一の治療である。若菜下の紫の上の悪霊は、明確な祟る意思と悪意があり自我がある。
手習の巻での高僧招聘でも書かれえていますが、源氏物語における悪霊退散は明確に僧侶が主体であり、より高僧、より多数による読経に効果があるという明確な認識があります。それだけでなく源氏物語には各所に仏教表現が現れ、天台浄土教が席巻した平安末期の宗教環境について読み取ることができます。

 

〇貴族から見る平民についてのすごい格差
源氏物語のは中央にいて地方に任官する受領階級の中央豪族はおりますが、なかなか地方在地の地方豪族は出てきませんが、その典型が玉鬘における筑紫の地方豪族の表現です。地方豪族の生活、立ち回りの粗野さ乱暴さ、教養の無さでの玉鬘に忌み嫌われる表現が満載です。中央から地方に下ったばかりで娘を中央に復帰させようとする明石とは全く違うのも印象的です。
奈良以前には天皇と豪族という2極だった支配階級が、平安後期には中央豪族は、財の有無等とにより貴族と官僚である受領に分離し、地方へ赴任された受領はそのまま地方と結びついた在地豪族で、百姓から成り上がったものと融合して明確な階級分離と階級と財産の不整合が発生しているのを感じます。

 

〇和歌は全人格を表す方法
男女の評価の多くは和歌でおこなわれます。女性はほぼ和歌でしか返信をしません。男は何かと心情を吐露する文を出すことはありますが、それでも女性側は和歌でしか返信しません。それも自筆前に侍女などの代筆の段階もあり、その和歌に全ての表現を載せているのがわかります。源氏と和歌をやり取りする女性でも特に、末摘花の没落宮家の様子を古風な和歌で示しているのは印象的です。和歌を基礎として蜻蛉日記から和泉式部日記など日記文学により平安末期の女流文学が花咲いたのがわかります。そういえば、蜻蛉日記の作者の孫は紫式部の同僚として紫式部日記に出てくるのが面白いです。

 

〇出産の命がけさ
出産は悪霊の攻めどころということで、退魔の対策が万全になされる状況が桐壺の女御を始めとした何度かなされる出産の場面にかかれています。特に葵の上が夕霧を出産する時の悪霊対策は明確で、天台座主の読経など書かれています。僧侶の読経や陰陽の祈祷、梓弓の鳴弦などによる魔除けの様子が垣間見えます。

 

○源氏物語を読もう。
それ以外にも多様な状況や感性が感じ取れる源氏物語ですが、なかなか読んだ人に会いません。それは、他の女流文学や物語と違って長編ゆえの読みに草があると思います。私がその最大と思うのは、個人に対する呼称です。つまり、登場人物を固有名で呼ばないので、源氏のように登場人物が多く、時空が重複していると直感としては誰だかわからないというところではないでしょうか。話してからすればその交際範囲や主従関係から階級や立場の呼称は一人を表しますが、登場人物には同じ呼称で呼ばれる人物が複数いることでしょう。関係で固定できる敬語表現によりわかるとは言われますが、単純な敬語表現しか知らない私には、読み取り用もありません。読書が進まないということになります。

各巻の読み始めに、ネット上にたくさん上がっている粗筋を読んで、これもネット上に上がっている各巻ごとの人物呼称表を横において読むことです。

 

 

【執筆者プロフィール】
中嶋 隆一 Ryuichi NAKAJIMA
EPIC PARTNERS株式会社 監査役。青山先端技術研究所・エグゼクティブフェロー。文筆家。
防衛省で31年間勤務し、研究開発業務に従事。定年退職後は、先端技術の研究・コンサルティング、大手企業のCVCのアドバイザーボード、公共領域のコンサルティング支援を行う。
誘導武器開発官付及び先進技術推進専門官、防衛省幹部学校において技術教育教官の経験を活かして、経営者・先端技術研究者等へのコーティングも行う。航空機搭載の電子とミサイルのスペシャリストとして、執筆、講演、セミナー等を幅広く実施。

 

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コミュニティ交通に関する考察(概要)

1.新たなコミュニティ交通の必要性について
 近年、過疎などにより公共交通機関が不採算により運営が不可能になり、民営から第3セクター、公営サービスと移行し自治体の赤字要因となっており、より住民主体で共助の運営可能な公共交通機関への移行が模索されている。また、継続するラスト1マイルの移動ツールの問題、完成症予防によるプライベート移動への傾向発生は、より簡便なモビリティの需要と、シェアリングによる分割所有でありながらオンタイム需要にへの対応を必要としている。

2.多様なコミュニティ交通システムの選択肢
(1)小型低負担個人所有車両
①超小型モビリティの個人所有
自動車の個人所有が減少している。その理由としては購入、維持、免許取得にかなりの経費負担が生じるからと言われている。また、単身世帯が増加し、家族で移動することに有利である所有車の意義が低下したことによる。
そこで、特区により、重要性の低い行動範囲、登場人数、速度、高速道路走行を生源することにより、車両の強度、安全性実証などの免除規定による価格抑制と車両軽量化、出力抑制による電池消耗の極限化と家庭電源による充電機能などにより、購入費や維持費を低下させる、取り扱いや整備、製造の簡便化が図れる。また低速やワンペダルなどの操作性の簡易化により、高齢者自家用車の乗り換えにより、操縦技量や危険性認知の低下を補填することができ、交通事故の抑制になる。
②電動キックボードなど「パーソナルモビリティ(小型特殊車両)」の個人所有
超小型モビリティより更に簡便化できる方策として、最高速度を20km/h未満に制限することで、電動キックボードを現在の原付1種ではなく取得時や更新時に実技講習のない小型特殊で登録し、保安装備免除車両とすることで安価な輸入製品の走行が可能になり、室内に持ち込め100Vの家庭用屋内コンセントで充電ができ、これによって免許保有と車両保有の負担が激減する。
また、パーソナルモビリティの小型軽量という利点は、乗用時以外は分解、収納などの手間無しに携行移動できることになり、公共交通機関との連携利用が可能になる。

(2)公共交通機関
①地域DMOの活用による自家用有償旅客運送の実施
コミュニティ交通についての理想は公共交通機関であることは間違いないが、その、車両や管理整備施設喉のインフラ投資、人的資源自費などを過疎地自治体では維持できなくなっている。
また、国土交通省及び官公庁は旅客輸送の利便性を、「一般乗用旅客自動車運送事業(1人1車制個人タクシー事業を除く。)の許可申請の審査基準について」に示される保有資金、管理、施設基準を回避する事ができ、より経済的な旅客輸送により高めて、それにより観光地などの地域資源の活用を推進している。
特に管理事務所や整備場、運転者の2種免許の回避は経済的に有効であり、これをコミュニティー交通の維持に活用することが有効であると言われている。
②グリーンスローモビリティによる乗り合い運行
より狭い地域において、より交通機関が確保が困難な地域に対して、国土交通省はグリーンスローモビリティ事業によって問題解決を提案している。これは電動ゴルフカート形態で20km/h未満、開放型の4名から16名までを想定し、それにより低CO2、高齢者運転であっても安全運行確保、狭あい道路運行可能などの利点により、近隣への買い物や通院、長距離交通機関への接続などの需要に対応できる。

(3)市民共助システム
①uber特区による個人間契約
日本においてuberは旅客運送法に適合しないために、既存のタクシー会社の配車システムとしてしか運用されていない。これを過疎化によるタクシー会社が廃業した地域を特区として限定uber営業地域の指定を検討している。地域の自動車所有者がuber登録することによって共助によりライドシェア交通システムが確保できる。
②自治体内指定個人間契約
uberのような不特定個人間の共助では、需要の集中、需要と供給のアンバランスにより、自動車が確保できない場合がある。これを回避するためには、高齢者と自動車所有車を多対多でゆるく固定し、事前に調整が可能で、運転者と利用者の顔が見えるライドシェアを構築する試みもある。

(4)カーシェアリングサービス
自動車の利用時間の限定性と所有の負担感により自家用車の減少は郊外の利便性の低下をもたらしている。これを解決するための手段として、自動車使用時間を複数の使用者で分け合い、効率を上げる共同所有、共同使用であるカーシェアリングが最初に可能性として考えられる。使用環境は多様であり、ワゴン、軽自動車、軽EV、超小型モビリティ、パーソナルモビリティなど適切に選択することが重要であり、必要な自動車台数の分析や運行掌握や給油、充電管理などのソフトウエアの充実が重要である。

 

 

 

【執筆者プロフィール】
中嶋 隆一 Ryuichi NAKAJIMA
EPIC PARTNERS株式会社 監査役。青山先端技術研究所・エグゼクティブフェロー。文筆家。
防衛省で31年間勤務し、研究開発業務に従事。定年退職後は、先端技術の研究・コンサルティング、大手企業のCVCのアドバイザーボード、公共領域のコンサルティング支援を行う。
誘導武器開発官付及び先進技術推進専門官、防衛省幹部学校において技術教育教官の経験を活かして、経営者・先端技術研究者等へのコーティングも行う。航空機搭載の電子とミサイルのスペシャリストとして、執筆、講演、セミナー等を幅広く実施。

 

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