【コロナ禍のいま、転職はしない方がいいのか?】EPIC Partners 株式会社 代表取締役CEO 中村 啓

転職希望者の方からキャリアのご相談を日々お受けする中で、最も多い質問が「コロナ禍の中で転職はしても大丈夫なのでしょうか?それとも落ち着くまで転職を待った方がいいのでしょうか?」というものです。
ニュースを見るとコロナ禍の煽りを受けて閉店する会社の報道がたくさん流れており、企業も採用を控えている、というイメージがあるのではないでしょうか。

転職市場を測る指標

転職のしやすさを測る指標はいくつかありますが、最もよく用いられるのが「有効求人倍率」です。有効求人倍率とは、「求人の数を転職希望者で割った値」のことです。転職したい人が100人おり、求人の数が200件ある場合、有効求人倍率は200÷100=2、となります。一般的に景気の良い時には有効求人倍率は増大し、景気の悪いときは減少する傾向にあり、景気そのものを測る指標としても用いられます。

では、有効求人倍率の「転職希望者」「求人の数」は、どのように数えるのでしょうか。日々変動する日本全国の「転職希望者」「求人の数」を数えるのは非常に困難なため、公共職業安定所、いわゆるハローワークでの数字を使っています。ハローワークには、年齢、性別、経歴問わず様々な方が登録し、また様々な企業が求人を出しているため、定点観測を行う場所としてはとても都合が良いのです。

全体としては、転職はしにくくなっている

実際の有効求人倍率を見てみると、コロナ禍前の2019年10-12月は1.57ですが、2020年の10-12月は1.04まで落ち込んでいます(独立行政法人労働政策研究・研修機構のホームーページを参照)。従って、労働者一人当たりの求人数が1年間で約3分の2に減少しており、「転職市場全体としては」転職はしにくくなっていると言えるでしょう。

では、転職はやめるべきか?

しかし、この数字を見て「じゃあ転職をやめておこう…」と考えるのは非常にもったいないことです。
私が日々接することが多いコンサルティング業界やゲーム業界、SaaS系企業を例に取ると、組織を拡張しているところも多く、コロナ前よりむしろ採用を拡大しています。別の例では、コロナ禍の煽りを強く受けている代表例が飲食業界ですが、店舗型の飲食施設の営業は厳しくなっている一方で、Eコマースや宅配を導入している店舗や、Eコマース・宅配のプラットフォームを提供している企業は業績が大きく伸びています。業界によっても大きく差があり、また飲食業界のように同じ業界でも相当な違いが出ている中、一人一人の転職を判断する際には、有効求人倍率のようなマクロな指標ではなく、その業界、そのビジネスが伸びているかというミクロな数字に注目することが大切です。

転職のしやすさを測る具体的な方法

自分が興味のある業界、ビジネス、企業での転職のしやすさを測る最も良い方法は、やはり丁寧に数字を追ってみることです。上場企業であれば売上などの数値を公開していますし、内閣府や統計局のHPは情報の宝庫です。また、企業やサービスを判断する一つの基準として、「コロナ禍でも使える(使いたい)サービスか?」という問いかけは有効です。例えばコンサルティングのように専門性が高い業界については、その業界に詳しいエージェントに聞いてみるのも良いでしょう。転職は人生の一大転機、後悔することのないように、確実な情報で判断するように心がけましょう。

【執筆者プロフィール】
中村 啓 Hiraku Nakamura
EPIC Partners株式会社 代表取締役CEO、他複数のベンチャー企業の取締役、アドバイザーを兼任。
東京大学大学院経済学研究科修了。マネジメント、マーケティングを専攻。 学位は経営学修士(Master of Management)。
学部在学時よりインターンをしていた外資系プライベートエクイティファンドへ新卒で入社。 最先端技術(AI、IoT分野)への投資先選定、実行支援を担当する。
その後、日本国内においてエグゼクティブサーチファームの買収に参画。投資先のCOOを経て、代表取締役CEOに就任。 ヘッドハンティング、並びにエグゼクティブサーチ事業に関わる。
現在は、EPIC Partners株式会社代表取締役CEO、EPIC Investment and Consulting株式会社代表取締役CEO他、 投資先複数社の役員を兼務。 コンサルティングファームパートナー、ベンチャー企業のトップと交流を持ち、セミナーの企画・登壇や、大手新聞社への寄稿なども積極的に行っている。

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