『EV充電システムの今後』青山先端技術研究所・エグゼクティブフェロー 中嶋隆一

EVは充電しなければいけません。それもある程度の時間が必要で、ガソリン車の給油のように数分で終了というようなわけには行きません。電気は家庭でも職場でもどこにでもあり、手軽なエネルギーのように感じますが、ガソリンでも給油所が必要です。

EV充電での問題点

・自宅駐車場所での充電
EVがエコである前提は、自動車の使用状況にあります。多くの自動車は、走っている時間よりも止まっている時間のほうが長く、自家用車など、出勤で毎日使う場合でも、職場での8時間、帰宅してから翌朝の出勤までの12時間は停止しています。その使われていない時間に充電を行うことを前提にすると、EVの最大の弱点である充電時間は全く問題ではなくなります。

・自宅に充電設備がない
マンションや賃貸駐車場などの理由で駐車場所に充電システムがない場合、EVの利点は大きく下がります。出勤前か帰宅前に充電サービスに寄って、最低でも30分間の充電をしてからではないと活動できないことになります。それもほぼ毎日です。1日30分を1年間続けると180時間で、毎年7日間充電のためだけに使うことになります。実際はこれに充電場所を探す時間まで付加されます。
その上、大容量電池搭載車であり、自宅で満充電できる環境にあれば、毎日充電する必要がないが、充電ステーションでは満充電が難しく、毎日充電する必要があるというパラドックスもありえます。

充電サービスの問題

・充電サービスの形態
充電サービスは2つ機能から成り立っている。一つは施設を持つ充電サービス、もう一つは個々の充電利用者い対する料金徴収を支援する支援機関である。ここで電気は送電会社から充電サービスが最終消費者として買い取る。サービスは電気の再販ではなく、充電施設の利用料金を支援サービスから受け取る。支援サービスはユーザーから充電時間や電気量、基本料金、自治体などからの補助金、自動車メーカーからのオプションなど様々な契約形態で料金を収納しなくてはいけません。
これはEVの充電が、自動車により充電能力の差があり、同じ時間使用でも、ステーション側の使用電力が同じでも、充電量は同一にならない事があり、またディーラーによるディーラ設置の充電設備でのサービスなど様々な、充電施設とは関係がない料金システムを統合管理する必要があり、収納は支援サービスが広域に展開して多様な情報を管理しながら総合的に取り扱う必要があります。

・充電設備の混雑
充電タイミングは多くのEVで同一です。出勤途中か帰宅途中、休日長距離移動が多いので1日中になります。この環境は設備が混雑するのは回避でいない状態です。時間制限などが設けられていますが、30分の場合が多いので、混雑時の滞留時間は大きな時間消費になります。行き先に設備がなく、追加の充電が必要なときなど最後列に並び直しが必要でとても大変です。

・急速充電負荷による電池寿命への影響
急速充電による電池寿命の低下は、電池の温度上昇の影響が大きく、メーカーの電池寿命への注意点が満充電での炎天下への放置、頻繁な加速減速、日に何度も急速充電を実施するということを見ても、特に満充電時の温度管理ができていれば大きな問題はないようです。

予測される充電システム

・電気配送ロボット
無人運転の宅配便の搬送ロボットの技術を発展させて、荷物の代りに大容量電池を搭載した搬送ロボットを、EV使用者からのオーダーによって自動運転でEVの駐車施設の指定場所に派遣して、EVが駐車場に戻った時点で充電設備がない駐車場所でも充電できるようにします。車両認識用のカメラが付いていますので、自動的にプラグ接続して、充電終了後はインレットのカバーを占めることまでも可能です。

・パンタグラフ給電
バスなど定期的に指定場所に停車するEVが停車中に給電を受けられます。接触がパンタグラフの長さ範囲内での直接接合なので停車場所の許容が大きい。

・路面非接触誘導コイル給電
大容量給電の場合は給電ケーブルが太く重くなり、取り回しが難しくなる。道路上に送電コイルを置いて、EVの底面に誘電コイルを設置すれば大容量の給電を受けやすい。非接触であるので走行中であっても舗装面にコイルを埋設させれば給電可能でしょう。

・車輪間電圧給電
タイヤを導電体として、タイヤの周辺に充電ユニットを設置してて電池に給電すれば、誘電用のコイルをEVに装備する必要はなですし、タイヤの位置はドライバーも自動運転も精密に調整しやすいでしょう。

・マイクロ波給電
コイルによる給電をマイクロ波に切り替えたもの。マイクロ波の送信指向を調整し、EVの受信アンテナの移動を追尾して送電できるので直視できる位置にいれば比較的長時間給電できますし、道路工事は必要ありません。

・レーザー半導体給電
EVを追跡しながら給電するシステムであるが、マイクロ波と違いレーザー光を光電変換システムを使って電気化して給電するシステム。直進性が高く減衰が少なく供給できるが高エネルギー化はまだ難しいでしょう。

【執筆者プロフィール】
中嶋 隆一 Ryuichi NAKAJIMA
EPIC Partners株式会社 監査役。青山先端技術研究所・エグゼクティブフェロー。文筆家。
防衛省で31年間勤務し、研究開発業務に従事。定年退職後は、先端技術の研究・コンサルティング、大手企業のCVCのアドバイザーボード、公共領域のコンサルティング支援を行う。
誘導武器開発官付及び先進技術推進専門官、防衛省幹部学校において技術教育教官の経験を活かして、経営者・先端技術研究者等へのコーティングも行う。航空機搭載の電子とミサイルのスペシャリストとして、執筆、講演、セミナー等を幅広く実施。

 

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