『運動に見る、指導や指摘が対象に反映されないことについて』青山先端技術研究所/エグゼクティブフェロー 中嶋隆一

認識には差がある

認識力のどうしても超えられない差のことを言いますが、実はこの差は誰にも存在します。得意不得意というのは実はこの認識力の差によるところが大きいと思います。この認識の違いで重要なことは、理解や確信の根本認識が違うということで、解った、理解している、出来ている、やっている、問題ない、トラブルはないと言った意識が個々の人間で違うということになります。
この差は当人間で意思疎通が出来ていないことと同じでして、言ったことが反映されていないのに、反映したと思いこんでいるということになります。

誰も正しいラジオ体操をしていない。

早朝に散歩をすると公園でラジオ体操をしているグループに会います。驚くことに誰も正しい動きをしていません。最初から両手が真上に上がっていることさえありませんし、踵など揚げる様子がありません。つまり、体操なので正しく動かないと筋を曲げ伸ばししたことにはならないはずなのですが、適当に丸めてしまっていて運動の効果が殆ど失われているのに気にしていない様子です。

動きから見る認識の方法の違い。

動きをコピーする

ここでその認識の違いを身近でチェックしやすい例で見てみたいと思います。
私はHiphopダンスが好きで20年ほどジムでやっているますが、レッスン中にインストラクターの動きと全く違う動作をしている人がいます。というか殆どがそうなのです。かなりの回数反復する動きでも変化しないので、それを違う動きをしていると認識していないのだと思います。腕を真っ直ぐ上げるところで肘が曲がっていたり、上半身を丸めて足を開いたときに上半身が真っすぐのままだったりします。スクールではないし、障害などの可能性があるので、ジムでは矯正はしないのですが、チームを組んでイベントで人前で踊るときには合わせるために矯正されると直せて、矯正されるまで自分の動きがイントラの動きと違っていることに気がついていない事が普通です。

理由を聞いてみた

なぜその動きだったのかを聞いてみると、彼らはイントラの動きを映像で捉えてその映像に自分の動きを合わせていると言いながらその実、映像をそのまま受け入れてはいない。どうも、イントラの動きを一旦、右手を上げる、足を開くなどの言葉に変換して運動として納得してから、自分の体を納得した動きの方で動かしているらしい。その動きはインストラクターの動きではなく自分が補完し大まかに丸めた動きに変換されており、そうするとダンスに重要な肘の曲がりや、膝やつま先の角度がコピーできないということらしい。

動きをコピーするということの認識法

ものを認識しているということは言葉で言えば同一だが、実は各個人で大きく異っているようです。人の動作を見て自分の動作をコントロールするという認識は、体の多数の部分を認識し、動きと結び付けなくてはならない。つま先、踵、膝、腰、胸、肩、肘、手首、指先、首、を全てを対照してコントロールする必要がありながら、見ている対象のとおりにできている人などほとんどいないのです。

【執筆者プロフィール】
中嶋 隆一 Ryuichi NAKAJIMA
EPIC Partners株式会社 監査役。青山先端技術研究所・エグゼクティブフェロー。文筆家。
防衛省で31年間勤務し、研究開発業務に従事。定年退職後は、先端技術の研究・コンサルティング、大手企業のCVCのアドバイザーボード、公共領域のコンサルティング支援を行う。
誘導武器開発官付及び先進技術推進専門官、防衛省幹部学校において技術教育教官の経験を活かして、経営者・先端技術研究者等へのコーティングも行う。航空機搭載の電子とミサイルのスペシャリストとして、執筆、講演、セミナー等を幅広く実施。

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