『ハイブリッド旅客機の現状と可能性』青山先端技術研究所/エグゼクティブフェロー 中嶋隆一

旅客機の環境問題

地球温暖化問題は予備的行動としてCO2排出に様々な規制を求めています。それは社会生活の変更だけでなく、製造される製品や社会インフラそれも交通インフラに大きな影響を与えています。特に製造業や交通インフラにおける再生可能エネルギーの活用に関する規制は、欧州の自動車企業に対する排出規制を典型とする急激かつ徹底したものになる傾向があります。
これは、切迫度は異なりますが自動車以外でも同じです。船舶は2100年に排出ゼロを目指しています。航空機も可能性を追求せざるを得ない状況にあります。

航空機のCO2排出量削減

我が国の輸送インフラによるCO2排出量全体に対する航空輸送の占有率は5%程度であり、航空部門の排出量削減による全体への寄与は僅かである。しかしながら、輸送量当たりの排出量では自家用自動車に近い排出量であり、公共交通機関としてはバス輸送の2倍に迫る量であり、削減余地があると指摘され削減規制される可能性があります。

航空機の特徴

航空機には大きなジレンマがあります。
翼と速度の関係は明確です。翼が大きければ離陸速度が下がり浮上するのは簡単ですが、空気抵抗になり速度は出ません。重い機体を小さめの翼で浮き上がらせるには高出力の推進機が必要になります。その推進装置の究極がジェットエンジンになります。
現状として、出力発生装置としてジェットエンジンに変わるものはありません。この意味でモーターでプロペラを回すしか無い電気推進には限界があり、電気推進の採用は利便性・安全性を犠牲にする必要があります。

プロペラとジェットエンジン
プロペラは空気を自力で圧縮して後方に送るという機能は空気が剥離しやすい物質であることによってエネルーの推力への変換に制限があります。これは膨張によって
電気推進というと現状ではによる航空機の可能性はやはりプロペラに戻ることを許容できるかということになります。ジェットエンジンを使わずに航空輸送をしようとすると大型化では飛行船などの低速輸送、高速では少量短距離輸送の組み合わせになるしかありません。これは電気推進の利用が限定的にならざるを得ないことを示してます。

ハイブリッド旅客機の可能性

この結果電気推進は何らかのハイブリッドにならざるを得ない。電気推進とジェットエンジンのハイブリッドには大きく分けて、電力供給にジェットエンジンを発電機として使って大量の電力で大量の電気推進を作動させるシステムと、多発推進装置の一部を電気推進に入れ替えるシステムです。
CO2排出ではもちろん前者のほうが有効ですが、離陸能力、上昇能力に問題があり、速度・輸送重量双方で輸送能力が劣ると思われます。後者の方は離陸時は電気を含めて全てのエンジンを使って高度を上げて高高度巡航時の低抵抗の条件では、エンジン1機とそのエンジンの電気を使った電気推進1機で飛行することにより、巡航時は半分の化石燃料消費が実現できます。

【執筆者プロフィール】
中嶋 隆一 Ryuichi NAKAJIMA
EPIC Partners株式会社 監査役。青山先端技術研究所・エグゼクティブフェロー。文筆家。
防衛省で31年間勤務し、研究開発業務に従事。定年退職後は、先端技術の研究・コンサルティング、大手企業のCVCのアドバイザーボード、公共領域のコンサルティング支援を行う。
誘導武器開発官付及び先進技術推進専門官、防衛省幹部学校において技術教育教官の経験を活かして、経営者・先端技術研究者等へのコーティングも行う。航空機搭載の電子とミサイルのスペシャリストとして、執筆、講演、セミナー等を幅広く実施。

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