『自動運転技術の用途と、今後の展望について』青山先端技術研究所/エグゼクティブフェロー 中嶋隆一

自動運転は難しくない

自動運転は実は原理的に言えばそう難しくないし、多方面で実現しているのに気づいている人も多いでしょう。
飛行機の自動操縦は今や困難と言われた離着陸でも採用されて、電車は「ゆりかもめ」が無人運転で毎日運行されていますし、多くの空港内シャトルは無人で動いています。
巡航ミサイルは完全な自律航法と自己センサー誘導で目標に直撃できています。

つまり限定されれば自動運転はそれほど技術を必要としません。

限定された条件とは

ここで、これらの自動運転環境が自動車の自動運転の何処が違うかというと、軌道で走行線が確定されている場合、他の運行するものからの影響がない場合、その他でも行動が規制される要因が殆どないなどがあります。
レールやレールに準ずる軌道の上だったり、ラジコンで制御されていたりなどでしかありえない条件だったりします。条件なしの完全な自動運転は可能でしょうか。

完全自動運転に必要なもの

完全自動運転には人間の機能を代替する幾つかの機能を装備することが必要になります。
その第一は自分の位置と進行方向を知り、目的地との位置関係や地図等と照合することです。

■GPSは衛星からの距離と変化量を測定することにより自分の位置と進行方向を測定します。
■加速度センサーが6軸あれば、姿勢や移動量がわかります。
静止状態で重力方向の変化率を計測すると自己位置がわかるので、航空機はGPSが導入されるまではこれだけで位置や方位を計測していました。

これらはナビゲーションツールです。
もし、対向車も歩行者も周囲になければこれだけでも移動できるかもしれません。
しかし、現実の自動運転の目的は対向車やカーブも交差点もある道路を走ることで、障害物やセンターライン、路肩を認識して回避や停止をするツールが必要です。

■電波や光学的センサーは、可視カメラ、赤外線カメラ、ミリ波レーダーなどで、センターラインや路肩、対向車、信号などを検知します。
■IOTはナビゲーション用の最新の地図、交通規制渋滞、天候報などの障害となる事象の最新リアルタイムの情報を受信します。

これらのセンサーデータや環境情報はそれがどのような意味を持っているかを判断して自動車の操舵に変換するシステムが必要になります。

■AIはIOTデータや位置データなどから、センサーが捉えたものが何かを判断し、自動車がどう操作されれは良いかを探し出して選定する事ができます。
■5G通信では車両間の通信か可能であり、周辺車両とのコンボイ化や周辺走行車両の急ブレーキ、車線変更などの行動の事前情報取得が可能になり、実際に異常動作が発生する以前に対処行動が可能になる。
■エッジ・コンピューティングは路面変化や故障など車体各部分で瞬時に決定しなくては間に合わない超高速作動を通信トラフィックを過剰な付加を与えないで自律判断機能で最適制御をすることが可能になリます。

それでもある限界

センサーとAIで固めても不可能なことは残ります。落石が道を塞いだり、信号機のない片側交互通行などを判断することは困難です。私が走行していても交通統制員の動作を判断したり、車から降りて石や枝を排除したら走れるかを判断したりは個人差があってデータから決定することは難しいでしょう。こうなると自動運転は停止し外部に判断を要求するしかなくなります。

限界にどのように対応するか

自動運転車を日本中のすべての環境で自由運行させるためには運行管理センターが必要でしょう。すべての自動車とネットで繋がって、AIの誤判断を防止するために、選択が一つに決定できない場合は停止し、管理センターでの人力によるコントロールがなされることが運行の条件になるでしょう。

【執筆者プロフィール】

【執筆者プロフィール】
中嶋 隆一 Ryuichi NAKAJIMA
EPIC Partners株式会社 監査役。青山先端技術研究所・エグゼクティブフェロー。文筆家。
防衛省で31年間勤務し、研究開発業務に従事。定年退職後は、先端技術の研究・コンサルティング、大手企業のCVCのアドバイザーボード、公共領域のコンサルティング支援を行う。
誘導武器開発官付及び先進技術推進専門官、防衛省幹部学校において技術教育教官の経験を活かして、経営者・先端技術研究者等へのコーティングも行う。航空機搭載の電子とミサイルのスペシャリストとして、執筆、講演、セミナー等を幅広く実施。

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