『超小型モビリティ型式制度とトヨタC+podの持つ意味』青山先端技術研究所・エグゼクティブフェロー 中嶋隆一

 

超小型モビリティとは

超小型モビリティの新たな定義が示されました。超小型モビリティとは、自動車よりコンパクトで小回りが利き、環境性能に優れ、地域の手軽な移動手段となる1人から2人乗り程度の電動車両ということになり、過去の企画から変更され電動車両であることが明記されました。また、この変更で、公道走行許可のため認定制度よって規定される(2)項の地域認定制度に依らないで国土交通省が公道運行の車輌型式を付与する制度が規定されました。
【認定制度の概要】
運行及び車両に係る条件を付すことで、安全・環境性能が低下しない範囲で座席の取付け基準等、一部の基準を緩和し、超小型モビリティの公道走行を可能とする制度。
(公布日及び施行日:平成25年1月31日(木))

◎主な認定条件
[1]高速道路等は運行しないこと
[2]交通の安全等を図るための措置を講じた場所において運行すること

ここで交通の安全等を図るための措置の設定は地域自治体の業務であり、認定制度は地域自治体の地域交通システムの試行プロジェクトと共同開発する以外での公道走行はありえないことを示しています。
この認定を必要としない規格が設定されたということは、地域自治体との共同の必要がなく、通常の車両として自動車会社の自由な販売が出来るようになります。

新しい超小型モビリティの規格

これで自動車登録の超小型モビリティの規格は従来の0.6Kw以下で一人乗りの原付きと0.6Kwから8Kwで2人乗りの軽自動車規格準拠の認定規格に加えて、0.6Kw以上2人乗り60km/h制限の超小型モビリティサイズの型式取得の3種類になります。
この新しい型式は、認定規格と異なり超小型モビリティの規格を明確にしたものと言えます。認定では、新設計に費用がかかる車体やフレーム、足回りを軽自動車をそのまま流用することを考えて、サイズを軽自動車規格にしていました。それが原付きミニカーと共通サイズに型式され、文字通りの超小型としての車両取り回しに重点が置かれることを明示したように思えます。この規格を取得した車両はトヨタC+podのみであり、この結果超小型モビリティについてトヨタは原付きミニカーとなるコムスと併せて2規格をディーラーで販売するという事になります。

超小型モビリティは次のフェーズへ

この型式規格の明確化により、超小型モビリティは社会実験のフェーズを終了し、運用の段階に入ったと言えます。ただ、社会実験により最高速度や定格出力の規定が固まったとはいえ、限定的な地域実験であった認定制度によるデータでは、その数値が実際の日本全域の道路環境や社会環境での適正数値かは確定できません。運用を実施しながら、ユーザーの使用状況、故障、整備実績、事故などの発生状況など、各種のデーター取得の必要性が有ります。これを国土交通省や総務省(警察)、環境省などが掌握するためには、大企業による運用試験データの取得を必要とすると思います。その意味で、実験都市を持ち、コムス販売整備の管理実績を持つトヨタがC+podが型式車両の主体となることは明らかでしょう。

そしてまた新たなフェーズへ

このフェーズが総務省、警察による新しい移動手段としての道交法の規制緩和と対応していることは間違いないところでしょう。以降は、日本政府は多様な移動手段としてのキックボードや超小型モビリティ、所有形態としてのシェアモビリティ、モバイルモビリティ、MaaSなどを準備し、大排気量車両の1人乗車や利用者が極端に少ない公共交通機関などの過剰なエネルギー使用社会から、利用形態に合わせた最適エネルギー使用による省エネ社会への運用形態移行を構想しているとも言えます。

【執筆者プロフィール】
中嶋 隆一 Ryuichi NAKAJIMA
EPIC Partners株式会社 監査役。青山先端技術研究所・エグゼクティブフェロー。文筆家。
防衛省で31年間勤務し、研究開発業務に従事。定年退職後は、先端技術の研究・コンサルティング、大手企業のCVCのアドバイザーボード、公共領域のコンサルティング支援を行う。
誘導武器開発官付及び先進技術推進専門官、防衛省幹部学校において技術教育教官の経験を活かして、経営者・先端技術研究者等へのコーティングも行う。航空機搭載の電子とミサイルのスペシャリストとして、執筆、講演、セミナー等を幅広く実施。

記事一覧へ

この記事をSNSでシェア!